2008年2月14日

「ガイアの夜明けで放送された事は、まったくのでっち上げ、完全にはめられた」

リンク: 濱田屋 日記:蔵元が大変な事に.
リンク: 地酒.たかま酒店.blog: 太陽酒造を応援下さい.

神戸の酒屋さん、そして茨木の酒屋さんが書かれた太陽酒造という灘の蔵元に関する衝撃の事実です。本件についての太陽酒造さんの公式見解はこちらに出ています。

どういう事が起こったのか、このサイトだけではなく、事情をご存じのBLOGやほかの酒屋さんのサイト、報道など様々な情報をまとめると以下のような感じです。

  1. スタッフサービスの子会社であるインターセラーズが経営難にある太陽酒造に債務の肩代わりと販路拡大のための提携を持ちかける
  2. 経営状況が厳しいため、インターセラーズの誘いに乗って提携を行う
  3. 肩代わりの債務に「顧問料」を乗せた金額をインターセラーズが太陽酒造へ貸し付けた契約形態を取るも「ちゃんと売るから大丈夫」と説明
  4. 太陽酒造は本来50石の蔵なのに150石の生産を要求、さらに全量自分たちで捌くと要求
  5. 従来からの顧客がいるということでインターセラーズが100石、太陽酒造が50石の販売をすることになる
  6. 太陽酒造側は50石を完売するもインターセラーズは20石しか販売できなかった
  7. インターセラーズは「売れなかったのは太陽酒造に責任があるので貸し付けた金額(3で説明した部分)を全額返すか酒造免許と土地をよこせ」と要求
  8. 太陽酒造は当面の資金繰りのめどが立ち、インターセラーズとの提携関係を解消
  9. 現在、新たな提携先・スポンサーを募集中

これを読んで下さっている皆様にお願いです。こうした状況に追いやられてしまった太陽酒造さんにぜひとも今回だけでも救いの手をさしのべてあげて下さい。もちろん、太陽酒造さんにも甘いところがあったのも事実だとは思います。しかし、こうしたやり口を許すわけには行かないのではないかと思っています。
方法は簡単です。太陽酒造さんの日本酒を一本購入すればよいだけです。どこで買えばよいか判らない方は太陽酒造公式サイトで販売店が紹介されていますのでご確認下さい。掲載されている酒屋さんに電話で聞けば通信販売をしているところもあると思います。

インターセラーズというこの会社、テレビ東京ガイアの夜明けで、さも日本酒業界における救世主であるかのように報道されました。概要はいまでもこちらでみることができます。この概要の中に印象的なコメントがあります。

運営支援を担当するスタッフサービスのグループ会社「インターセラーズ」社長の津端さんは、支援の目的について「日本酒市場は今が底。だが何百年の歴史を持つ日本酒がなくなるわけがない。いずれ業界の淘汰が終われば市場は反転する。そこからがビジネスチャンスなんです」と語る。

きっとここでいう「ビジネスチャンス」とは、市場が反転するまでの間にいかに自分たちの自由になる日本酒の免許と土地をたくさん集めるか、ということが重要だということなのでしょうね。そのために蔵がいままで歩んできた歴史や顧客は全て無視、借金を背負わせて経営権を奪取しなければならないということなのでしょう。さらに経営がうまくいかなくても蔵は広大な土地を持っているのでいざとなれば蔵をつぶして土地をマンションにでもすれば回収可能という算盤をはじいたのでしょうね。

それにしてもこのスタッフサービスの子会社であるインターセラーズという会社のやり方はえげつない。近年の偽装派遣問題なとで派遣業というだけでどうもうさんくさい感じがしていたのですが、今回の太陽酒造さんに関する騒動をみているとさらにうさんくさげな感じが増しました。

2008/02/24追記.一部でこの記事について「感情論」という話も出ているようですが、長らくこのような酒類のBLOGをやっておりますとそれなりに情報は入ってきますし、誰にどのようなことを聞けばどんなことが判るのか、というのも見えてきます。インターセラーズについてはこれだけ大々的に各所で取り上げられている状況と事業開始後に延べ何社と提携して、いま残っているところは何社なのか、現在提携している蔵やかつて提携をしていた蔵の所在地などを冷静に観察すると「なるほど」と判る動きもしています。実際に入手した情報ではここに書いた以上の情報も多々あるのですが、そこまで書くと情報源が秘匿できないのであえて書いていないこともありますことを念頭に置いて頂ければ幸いです。

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2007年7月20日

前割り焼酎を他人に呑ませると懲役刑!

南九州(宮崎・鹿児島)の芋焼酎圏では、本格焼酎を事前に水で割っておき、アルコールと水を十分なじませてから黒ぢょかや鳩とっくりなどで温めて呑むという習慣があります。これを「前割り焼酎」「前割焼酎」「割水焼酎」などと呼んでいます。多くの本格焼酎がアルコール度数25度となっていますが、前割りしておくことでアルコールの度数は、例えば5:5で割った場合には清酒並みの12.5度くらいになります。風味を楽しみつつ、体にも優しい焼酎を呑むことが出来るという一種の「生活の知恵」で、芋焼酎が呑まれている地域では極めてポピュラーな文化です。南九州での焼酎文化を広めようとしている料飲店さんたちは、南九州での本格焼酎の呑み方を知ってもらおうといろいろなことを試されています。その一環で自分の店でも前割焼酎を出しているケースが多く見られます。

しかし、国税当局は薄められてしまっては酒類の消費が伸びず、税金が減少すると考えたのか、酒税法を改悪してとんでもない条文を紛れ込ませたのです。該当の記述があるのは酒税法第四十三条。この条文では酒類を製造したとみなす行為(みなし製造)がまとめられています。

この第四十三条の5には

第一項の規定にかかわらず、酒類の製造場以外の場所で酒類と水との混和をしたとき(政令で定める場合を除く。)は、新たに酒類を製造したものとみなす。この場合において、当該混和後の酒類の品目は、この法律で別に定める場合を除き、当該混和前の酒類の品目とする。

という規定があります。要するに酒類製造免許のない人や法人が水を混ぜたらそれは新しく酒を造ったことと見なすよ、というとんでもない規定です。

しかし、国税も大酒造メーカーや国外の蒸留酒メーカーには頭が上がらないのか、くだらない例外規定を設けています。それが同法同条10の

前各項の規定は、消費の直前において酒類と他の物品(酒類を含む。)との混和をする場合で政令で定めるときについては、適用しない。
という部分です。さらにこの条文でいう
政令で定めるとき
というのは、酒税法施行令第五十条13で定められています。その条文には
法第四十三条第十項 に規定する消費の直前において酒類と他の物品(酒類を含む。)との混和をする場合で政令で定めるときは、酒場、料理店その他酒類を専ら自己の営業場において飲用に供することを業とする者がその営業場において消費者の求めに応じ、又は酒類の消費者が自ら消費するため、当該混和をするときとする。

と書かれています。これならば注文を受けてから作ることが多い大手居酒屋の酎ハイやサワー類、高級ホテルのバーが提供するウイスキーの水割りなどは除外されるわけです。国内外の大メーカーから怒られないようにうまい抜け道を考えたものです。

先にも書きましたが割水焼酎は九州における飲酒文化の代表事例です。度数の高い焼酎を体に優しく飲むために自然発生した、本格焼酎の文化そのものといえます。これを税金のことしか頭にないこわっぱ役人どもが禁止するとは言語道断です。なぜ度数の高いアルコールを事前に割っておくことが「みなし製造」になるのか、梅酒のみなし製造もそうですが、文化を理解できない、ペーパー試験しか取り柄のない役人どもは今すぐ駆逐したい、そんな思いに駆られる出来事です。

さらにこの条文がひどいのは、もしこれを読んで下さっている皆様が前割り焼酎を造ったとして、それを自分や生計を一にする家族以外の他人と一緒に楽しもうとするとそれも法律違反となるということです。例えばバーベキューでキンキンに冷やした前割り焼酎を持っていく人がいますが、それを他の人にあげてしまうと法律違反となるのです。こんな変な話があって良いのでしょうか?

市井のこうした文化を大事に出来ないようで本当に「美しい国」は実現できるのでしょうか?私ははなはだ疑問です。割水という文化がしっかり理解される日まで、この問題は飲兵衛の立場から継続して取り上げていきます。

※その後国会で動きがありました。こちらで続報を書き、その後の動きにあわせてこちらを追記しました。

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